固有値と固有ベクトル

『量子計算と量子情報の原理』の線型代数の復習のところの、固有値eigenvalueと固有ベクトルeigenvectorのところがちと分かりにくいのではないか、と思う。

一番素直(とおれには思われる)な固有値固有ベクトルの説明は、あるベクトルxにある作用素Aかましたとき、その結果がax(aはスカラ)となるとき、xA固有ベクトル、aを同じくA固有値と呼ぶ、というものだ。

そして、Ax=axなのだから(A-aI)x、そしてこのxに非自明な解、つまりx=0以外の解が存在するためにはA-aIに逆ベクトルが存在してはならない。つまりdet(A-aI)=0。

当然、『量子計算……』における記述もこれと同等のことを述べているのだけど(当たり前だ)、初学者にとってはちょっといたずらに複雑な印象を与えるのではないか。まあ、いくら「線型代数の知識は仮定しない」と謂えど、この本を読むような人たちは当たり前のように既習済みであろうから、問題はないんだろうけど。